在留資格

老親扶養ビザの許可率はなぜ低い?審査基準や不許可を避けるための対策

日本で暮らす外国籍の方にとって、本国にいる高齢の親を日本に呼び寄せたいと願うことは自然な気持ちです。

しかし老親扶養ビザ(特定活動)は許可率が極めて低く、申請しても認められないケースが非常に多いのが現実です。

この記事では老親扶養ビザの許可率が低い理由や、審査で重視される基準、そして少しでも許可の可能性を高めるための具体的な対策について詳しく解説します。

老親扶養ビザの許可率はどれくらい?審査の現状

ここでは老親扶養ビザの許可率に関する実態と、なぜ正確なデータが公表されていないのかについて説明します。

また実務上の体感や、このビザが「最後の手段」とされる理由についても触れていきます。

①公式な統計データがない「告示外特定活動」の特殊性

老親扶養ビザは正式には「特定活動(告示外)」という在留資格に分類され、法務省から公式な許可率の統計データが一切公表されていません。

通常の就労ビザや配偶者ビザなどは年次報告で許可数や不許可数が明らかにされますが、告示外特定活動は個別判断のため統計の対象外とされています。

そのためインターネット上で「許可率○%」と断言する情報があっても、それは公式なものではなく推測や体感に基づくものです。

この透明性の低さ自体が、老親扶養ビザの申請における不安や難しさを象徴していると言えるでしょう。

②実務上の体感許可率と「非常に狭き門」と言われる理由

入管業務に携わる行政書士や専門家の間では、老親扶養ビザの許可率は体感で5~10%程度ではないかと言われています。

つまり申請しても9割以上が不許可になる可能性があり、他のビザと比較しても圧倒的に厳しい審査が行われているのです。

この厳しさの背景には、後述する社会保障費の問題や、本国での扶養可能性の厳格な判断基準があります。

そのため専門家でさえ「まず許可は難しい」と前置きした上で相談を受けるほど、老親扶養ビザは狭き門として知られています。

③人道的な配慮が必要な「最後の手段」としての位置づけ

老親扶養ビザは法律で明確に定められた権利ではなく、あくまで法務大臣の裁量により人道的観点から認められる例外的な措置です。

つまり「親が高齢だから」「一緒に暮らしたいから」という希望だけでは許可されず、本国での扶養が本当に不可能である証明が求められます。

他にどうしても方法がない場合の最後の手段として、ようやく検討されるのがこのビザの実態なのです。

そのため申請前には代替手段(短期滞在の繰り返しなど)を十分に検討し、それでも無理な場合にのみ申請すべきだと考えられています。

なぜ老親扶養ビザの許可率は低いのか?主な3つの理由

ここでは老親扶養ビザの許可率が極端に低い背景にある、3つの主要な理由について解説します。

入管当局がどのような視点で審査を行っているのかを理解することが、対策の第一歩となります。

①「本国で扶養可能」と判断されるケースが大半

入管審査では「なぜ本国で親の面倒を見ることができないのか」という点が最も重視され、ほとんどのケースで本国での扶養が可能と判断されます。

たとえば本国に兄弟姉妹が一人でも残っている場合、その親族が扶養できるはずだとみなされ不許可になることが多いのです。

また経済的に仕送りができる状況であれば、わざわざ日本に呼ぶ必要はないと判断されてしまいます。

このように入管は「日本に呼ぶ必然性」を極めて厳格に審査するため、多くの申請が最初のハードルで跳ね返されてしまうのです。

②日本の社会保障費(医療・介護)増大への懸念

高齢の親を日本に呼び寄せた場合、日本の健康保険制度や介護保険制度を利用することになり、社会保障費の負担増加が懸念されます。

特に70代以上の高齢者は医療費が高額になりやすく、長期的に見ると国の財政に大きな負担をかける可能性があるのです。

入管当局はこうした社会的コストを考慮し、本当に人道上やむを得ないケース以外は極力認めない方針をとっています。

そのため申請者は親の医療費や生活費を完全に自己負担できる経済力を示さなければ、許可を得ることは困難です。

③「家族滞在ビザ」のような法的権利が認められていない

就労ビザや留学ビザを持つ外国人には配偶者や子供を呼び寄せる「家族滞在ビザ」という法的な権利が認められています。

しかし親を呼び寄せる権利は入管法に明記されておらず、老親扶養ビザは法的な保障がない裁量的措置にすぎません。

つまり条件を満たせば必ず許可されるという性質のものではなく、最終的には入管の判断次第となるのです。

この法的根拠の弱さが、老親扶養ビザの許可率の低さと審査の不透明性につながっていると言えます。

許可率を左右する「人道的配慮」の4つの判断基準

ここでは入管が老親扶養ビザの審査で特に重視する「人道的配慮」の具体的な判断基準について説明します。

これらの基準を理解し、自分のケースがどの程度該当するかを冷静に見極めることが重要です。

①親の年齢(原則70歳以上)と健康状態

入管の審査では親の年齢が70歳以上であることが一つの目安とされており、それ以下の場合は許可の可能性がさらに低くなります。

また単に高齢というだけでなく、重度の病気や要介護状態など、本国での生活が現実的に困難な健康状態であることが求められます。

医師の診断書や介護認定書など、客観的な医学的証拠を提出して健康状態の深刻さを証明することが不可欠です。

ただし病状が重すぎて日本での治療が困難と判断される場合も不許可になるため、バランスが難しいところです。

②本国における「身寄りのなさ」の客観的証明

親が本国で本当に一人きりで頼れる親族が誰もいないことを、戸籍謄本や親族関係公証書などの公的書類で証明する必要があります。

兄弟姉妹が一人でも存命であれば、その人が扶養できない特別な理由(重病、極度の貧困など)を詳細に説明しなければなりません。

また親族が物理的に遠方に住んでいる、疎遠であるといった理由だけでは、身寄りがないとは認められないことが多いです。

客観的かつ具体的な証拠に基づいて、本国での扶養が本当に不可能であることを立証することが求められます。

③日本側にいる子供(扶養者)の圧倒的な経済力

扶養者である子供が親の生活費、医療費、介護費用のすべてを長期的に負担できる十分な収入と資産を持っていることが必須条件です。

目安としては年収500万円以上、できれば700万円以上の安定した収入があり、さらに預貯金などの資産も豊富であることが望ましいとされています。

親が日本の社会保障に頼らず、完全に自己負担で生活できることを証明するため、給与明細や納税証明書、預金通帳のコピーなどを詳細に提出します。

経済力が不十分と判断されれば、人道的配慮があっても不許可になる可能性が高いのです。

④これまでの継続的な仕送り(扶養実績)の有無

申請前から長期間にわたって定期的に親へ仕送りをしてきた実績があることも、重要な判断材料となります。

送金記録や銀行の振込明細を提出し、月々いくら送金してきたか、それが何年続いているかを具体的に示す必要があります。

突然ビザ申請のタイミングで仕送りを始めても説得力がなく、少なくとも1~2年以上の継続的な扶養実績が求められることが多いです。

この扶養実績は、申請者が本当に親の面倒を見る意思と能力を持っていることを証明する重要な証拠となります。

少しでも許可率を上げるために準備すべき重要書類

ここでは老親扶養ビザの申請において、許可率を少しでも高めるために必ず準備すべき重要書類について解説します。

書類の質と説得力が審査結果を大きく左右するため、時間をかけて丁寧に準備することが大切です。

①本国の親族全員の状況を記した「親族関係公証書」

親族関係公証書は、親の兄弟姉妹や子供(申請者以外)の存在や現状を公的に証明する書類で、本国の役所や公証役場で取得します。

この書類によって親に身寄りがないこと、または他の親族が扶養できない状況であることを客観的に示すことができます。

単に「兄弟はいません」と申告するだけでは信用されないため、必ず公的な証明書として提出することが必要です。

また親族がいる場合は、その人たちが扶養できない理由(病気、貧困、死亡など)を示す追加資料も併せて用意しましょう。

②病状や介護の必要性を裏付ける「医師の診断書」

親の健康状態が深刻であることを証明するため、本国の医師による詳細な診断書を取得し、日本語翻訳を添付して提出します。

診断書には病名、症状の詳細、治療歴、現在の介護の必要性、本国での治療やケアの困難さなどが具体的に記載されている必要があります。

また可能であれば日本の医療機関からも受入れ可能である旨の意見書をもらっておくと、さらに説得力が増します。

診断書は古すぎると証拠価値が下がるため、申請の3ヶ月以内に発行されたものを用意することが望ましいです。

③生活の安定性を示す「理由書(上申書)」の作成ポイント

理由書は申請者が自分の言葉で、なぜ親を日本に呼ぶ必要があるのか、どのように扶養するのかを詳しく説明する重要な書類です。

単なる希望や感情論ではなく、親の状況、本国での扶養が不可能な客観的理由、日本での具体的な生活計画を論理的に記述する必要があります。

また自分の経済状況、職業の安定性、住居環境、これまでの扶養実績なども具体的な数字やエピソードを交えて説明しましょう。

理由書は長ければ良いわけではなく、A4用紙2~3枚程度で簡潔かつ説得力のある内容にまとめることがポイントです。

④日本での具体的な介護計画と居住環境の証明

親を日本に呼んだ後、どこに住まわせるのか、誰がどのように介護するのか、医療機関はどこを利用するのかなど、具体的な生活計画を示す必要があります。

賃貸契約書や住宅の間取り図、近隣の病院や介護施設のリストなどを提出し、受入れ環境が整っていることを証明します。

また扶養者が仕事で不在の間の介護体制(配偶者がいる、介護サービスを利用するなど)についても明確にしておくことが重要です。

漠然とした計画ではなく、実現可能で具体的な内容であることが、入管の信頼を得るために不可欠となります。

老親扶養ビザが「不許可」になりやすいワースト事例

ここでは実際に老親扶養ビザの申請が不許可になりやすい典型的なケースを紹介します。

自分の状況がこれらに該当する場合は、申請前に慎重に検討するか、専門家に相談することをおすすめします。

①本国に兄弟姉妹が一人でも残っている場合

親に兄弟姉妹が一人でも存命している場合、その親族が扶養できるはずだと入管に判断され、不許可になる可能性が非常に高くなります。

たとえその兄弟姉妹と親が疎遠であったり、経済的に余裕がなかったりしても、それを客観的に証明することは極めて困難です。

兄弟姉妹が重度の病気や障害で扶養能力がない場合は、医師の診断書や公的な障害認定書などを提出して証明する必要があります。

また兄弟姉妹が既に他界している場合は、死亡証明書を必ず提出し、親が本当に身寄りがない状態であることを示しましょう。

②親がまだ若く(60代など)、就労が可能と判断される場合

親の年齢が60代前半など比較的若い場合、まだ働ける年齢であり自活可能だとみなされ、不許可になることがほとんどです。

入管の審査では原則として70歳以上が一つの目安とされており、それ以下の年齢では重篤な病気がない限り許可は極めて困難です。

また親が本国で年金を受給している場合、その年金で生活できるはずだと判断され、日本に呼ぶ必要性が認められません。

60代で健康な親を呼びたい場合は、老親扶養ビザではなく短期滞在ビザでの定期的な訪問を検討する方が現実的です。

③扶養者の年収が低く、親の医療費を賄えないと見られる場合

扶養者の年収が300万円台以下など低い場合、親の生活費や医療費を長期的に負担できないと判断され、不許可になる可能性が高いです。

特に高齢の親は医療費が高額になりやすく、扶養者に十分な経済力がなければ結局は日本の社会保障に頼ることになると懸念されます。

入管は扶養者の収入だけでなく、貯蓄額や配偶者の収入なども総合的に判断するため、世帯全体の経済状況を明確に示す必要があります。

経済力が不足している場合は、まず自分の収入を増やすか、貯蓄を増やしてから申請することを検討すべきでしょう。

許可率が低い場合に検討すべき「代替案」

ここでは老親扶養ビザの許可が難しいと判断された場合に、代わりに検討できる現実的な選択肢について紹介します。

ビザの種類や制度を柔軟に活用することで、親との時間を確保する方法を探ることができます。

①短期滞在ビザ(数次有効)での定期的な呼び寄せ

短期滞在ビザは通常90日以内の滞在が認められ、数次有効のビザを取得すれば有効期間内に何度でも日本に来ることができます。

老親扶養ビザのように厳しい審査はなく、招へい理由書や身元保証書などの基本的な書類を準備すれば比較的容易に取得できます。

親に年に数回日本に来てもらい、一緒に過ごす時間を作るという方法は、多くの家族にとって現実的な選択肢となっています。

ただし短期滞在では日本での就労や長期居住はできないため、あくまで一時的な滞在手段として活用することになります。

②高度専門職ビザの「親の帯同(子育て・家事支援)」制度の活用

高度専門職ビザ(高度人材ポイント制)で70点以上を獲得している場合、一定の条件下で親を日本に呼び寄せることができる制度があります。

この制度は7歳未満の子供を養育するため、または妊娠中の配偶者の家事を支援するために親の帯同を認めるもので、老親扶養とは目的が異なります。

条件に該当する場合は、老親扶養ビザよりもはるかに許可される可能性が高いため、まずこの制度の利用を検討すべきです。

ただし子供が7歳を超えたり、高度専門職の資格を失ったりすると、親のビザも継続できなくなる点に注意が必要です。

③特定活動(告示外)以外の在留資格への変更可能性

親が何らかの専門的な技能や資格を持っている場合、稀ではありますが就労ビザなど別の在留資格で来日できる可能性もあります。

また親が日本人と結婚する場合は配偶者ビザを取得できますし、帰化して日本国籍を取得すれば在留資格自体が不要になります。

現実的には難しいケースが多いですが、家族の状況によっては予想外の方法が見つかることもあるため、専門家に相談してみる価値はあります。

いずれにせよ老親扶養ビザだけに固執せず、柔軟に複数の選択肢を検討することが、家族との時間を確保する鍵となります。

【Q&A】老親扶養ビザの許可に関するよくある疑問

ここでは老親扶養ビザの申請を検討している方からよく寄せられる質問について、実務的な観点から回答します。

疑問や不安を解消し、より適切な判断ができるよう参考にしてください。

①一度不許可になったら二度と申請できない?

老親扶養ビザが一度不許可になっても、再申請すること自体は制度上可能であり、永久に申請できなくなるわけではありません。

ただし同じ内容で再申請しても同じ結果になる可能性が高いため、不許可の理由を十分に分析し、状況を改善してから再申請することが重要です。

たとえば扶養者の収入が増えた、親の健康状態が悪化した、本国の兄弟が他界したなど、状況に明確な変化があれば再申請の意義があります。

また再申請までに一定期間(半年~1年程度)を空けることで、状況の変化をより説得力を持って示すことができるでしょう。

②行政書士に依頼すれば許可率は上がる?

入管業務に精通した行政書士に依頼することで、書類の作成や証拠の提出方法が適切になり、結果として許可の可能性が高まることは確かです。

特に理由書の書き方や、どのような証拠書類を揃えるべきかといった点で、専門家のノウハウは大きな助けとなります。

ただし行政書士に依頼したからといって、許可が保証されるわけではなく、最終的には申請者自身の状況が審査基準を満たしているかどうかが決め手となります。

専門家はあくまで最善の申請をサポートする存在であり、条件が整っていない場合は正直に「許可は難しい」と伝えてくれる行政書士を選ぶことが大切です。

③親が病気でなくても「高齢」というだけで許可される?

親が単に高齢であるというだけでは老親扶養ビザは許可されず、必ず「本国での扶養が困難な特別な事情」が必要です。

たとえば80歳で健康な親でも、本国に他の子供や親族がいて扶養可能であれば、日本に呼ぶ必要性が認められません。

逆に70歳でも重篤な病気や要介護状態で、本国に頼れる人が誰もいない場合は、許可の可能性が出てきます。

つまり年齢はあくまで一つの要素にすぎず、総合的な状況を人道的に判断されるのが老親扶養ビザの特徴だと理解してください。

まとめ:老親扶養ビザの許可率を高めるには「徹底した証拠」が不可欠

老親扶養ビザは許可率が極めて低く、本国での扶養が本当に不可能であることを客観的かつ詳細に証明しなければ許可されません。

親の年齢や健康状態、本国での身寄りのなさ、扶養者の圧倒的な経済力、そして継続的な扶養実績という4つの基準を満たし、それを裏付ける十分な証拠書類を準備することが不可欠です。

もし自分のケースが許可基準に達していないと感じたら、まずは短期滞在ビザでの定期的な呼び寄せや他の代替案を検討し、それでも難しい場合は専門家に相談しながら慎重に申請を進めていきましょう。

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