在留資格

特定技能ビザを取得するために知っておきたい主な条件を紹介

特定技能ビザは永住権獲得にも影響するため外国人からの人気も高いですが、取得条件が多岐にわたるため、どのように取得すればいいかをしっかりと把握しておくことが大切です。

本記事では、特定技能ビザ1号・2号の取得条件や知っておきたいポイントについて詳しく紹介します。

特定技能ビザを取得するための必須条件

ノートパソコンの近くで鉛筆を持っている人

特定技能ビザを取得するための必須条件を1号と2号のそれぞれ紹介します。

特定技能ビザ1号の必須条件

特定技能ビザ1号は、指定された特定産業分野に従事できる日本語能力や技能、知識などを証明することが必須条件となります。

具体的には「特定技能評価試験」と「日本語能力水準試験」の2つの試験に合格する必要があります。

「特定技能評価試験」は、指定されている特定分野ごとに行われる特定技能試験に合格する必要があり、「日本語能力水準試験」は、日本語能力試験試験(JLPT)N4以上または国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-basic)200点以上が条件です。

特定技能ビザ2号の必須条件

特定技能ビザ2号の必須条件は、各分野で指定された「特定技能2号」への合格と実務経験です。

原則日本語能力については試験などで問われることはありませんが、一部の分野においては、特定技能ビザ1号のときよりも高度な「日本語能力試験(JLPT)」N3以上などが求められる場合もあります。

「特定技能2号」の試験内容は分野によっても異なりますが、基本的には学科試験と実務試験の両方が課せられるケースが多いです。

また、実務経験においても分野によって求められる経験が異なり、単純に実務経験の年数が問われることもあれば、一定の役職以上の経験が求められる場合もあります。

技能実習から特定技能ビザに移行する場合は条件が緩和される

技能実習は外国人労働者が日本で働くなかで得た専門的な技術などを発展途上国などに持ち帰り、外国の発展に貢献する国際貢献を目的とした在留資格となるため、原則として5年で帰国することになります。

そのため、技能実習の在留期間が上限を迎えるタイミングで特定技能ビザに移行するという方も多いです。

技能実習から特定技能ビザに移行する方の中でも「技能実習2号」を良好に修了した方は、特定技能ビザの条件に定められている「技能水準」と「日本語能力水準」の試験が免除されます。

特定技能ビザの取得条件で知っておきたいポイント

特定技能ビザの取得条件で知っておきたいポイントは以下のとおりです。

  • 1号と2号では受入れ分野が異なる
  • 試験概要は分野によって異なる
  • 特定技能ビザ2号を目指す人は多いが狭き門

それぞれのポイントについて、詳しく紹介します。

①1号と2号では受入れ分野が異なる

特定技能ビザ1号の受け入れ分野は以下のとおりです。

  • 介護
  • ビルクリーニング
  • 工業製品製造業
  • 建築
  • 造船・舶用工業
  • 自動車整備
  • 航空
  • 宿泊
  • 自動車運送業
  • 鉄道
  • 農業
  • 漁業
  • 飲食料品製造業
  • 外食業
  • 林業
  • 木材産業

一方で特定技能ビザ2号は、以下のとおりです。

  • ビルクリーニング
  • 工業製品製造業
  • 建築
  • 造船・舶用工業
  • 自動車整備
  • 航空
  • 宿泊
  • 自動車運送業
  • 鉄道
  • 農業
  • 漁業
  • 飲食料品製造業
  • 外食業
  • 林業
  • 木材産業

このように、特定技能ビザ2号には「介護」が含まれないことを知っておきましょう。

②試験概要は分野によって異なる

「建設分野特定技能1号評価試験」は国土交通省不動産・建設経済局が担当し、「介護技能評価試験」は厚生労働省 社会・援護局 福祉基盤課福祉人材確保対策室が担当しているというように、各分野がそれぞれ違った部署が担当しているため、試験概要が異なる場合があります。

特定技能ビザ関連の試験情報については出入国在留管理庁の「試験関係」というページでまとめられていますので、かならず確認するようにしましょう。

③特定技能ビザ2号を目指す人は多いが狭き門

マイナビグローバルの調査によると、日本で働いている外国人のうち63.6%が「特定技能2号で働きたい」と回答してるほど、実質無期限で日本で働くことのできる特定技能ビザ2号は人気があります。

しかし、特定技能ビザ2号の取得はかなり狭き門としても知られており、特定技能ビザ1号と2号の人数を比べると以下のとおりとなります。

特定技能ビザ1号特定技能ビザ2号
介護44,367人
ビルクリーニング6,140人3人
工業製品製造業45,183人98人
建築38,365人213人
造船・舶用工業9,665人74人
自動車整備3,076人3人
航空1,382人
宿泊671人4人
鉄道1人
農業29,157人174人
漁業3,488人2人
飲食料品製造業74,380人158人
外食業27,759人105人

(参照:「【第1表】主な国籍・地域別 特定産業分野別 特定技能1号在留外国人数」/【第1表】国籍・地域別 特定産業分野別 特定技能2号在留外国人数)

このように、特定技能ビザ2号の取得は希望すれば取得できるというものではありませんし、特定技能ビザ1号は通算5年までしか在留できませんので、計画的に特定技能ビザ2号の取得を目指す必要があります。

特定技能ビザの取得条件に関するよくある質問

特定技能ビザの取得条件に関するよくある質問をQ&A形式で紹介します。

Q1.特定技能ビザの特定技能評価試験はどのような内容ですか?

特定技能評価試験の試験科目と実施方法は以下のとおりです。

試験科目(1)特定技能評価試験原則として学科試験及び実技試験により実施する。分野所管行政機関の判断によっては、学科試験又は実技試験のいずれかのみによって技能水準を確認することや、実技試験を一定期間の実務経験で代替することも可能とするが、実務経験のみによって技能水準を確認することは認めない。学科試験又は実技試験のいずれかを実施しない場合は、その理由、実施しないものに係る代替措置(相当時間の研修等)及び当該措置により修得できる能力の内容について定める。
(2)日本語試験読解試験及び聴解試験(リスニング)により実施することを基本とする。
実施方法(1)特定技能評価試験学科試験は、コンピュータ・ベースド・テスティング(CBT)方式又はペーパーテスト方式により実施する。実技試験は、製作等作業試験により実施するが、分野所管行政機関において製作等作業試験により実施することが困難と認める場合には、判断等試験、計画立案等作業試験、実地試験により実施することも可能とする。なお、判断等試験、計画立案等作業試験については、コンピュータ・ベースド・テスティング(CBT)又はペーパーテストの中で図示する方式により実施することも可能とする。
(2)日本語試験政府基本方針第三の2(3)で定める日本語能力水準を満たすものとする。また、分野所管行政機関は、特定産業分野に応じて業務上必要な日本語能力水準を整理し、水準設定を行う。

(参照:入出国在留管理庁「特定技能制度及び育成就労制度に係る試験の方針」)

まとめ

本記事では、特定技能ビザ1号・2号の取得条件や知っておきたいポイントについて詳しく紹介しました。

特定技能ビザ関連の情報は入出国在留管理庁のホームページを中心にまとめられていますが、難しい言葉が使用されていたり、一部複雑な構造をしている場合もありますので、しっかりと理解できるようにすることが大切です。

ぜひ本記事を参考にして特定技能ビザの条件についてチェックしてみてください。