技能実習生の給与は安い?賃金の適正額と手取りを増やす方法
技能実習生として日本で働くことを考えている外国人の方々にとって、給与が適正なのかどうかは最も気になる問題だと思います。
日本の物価や生活費を考えると、手取りとして毎月いくらもらえるのか、そして給与が安すぎないかといった心配はさまざまあることでしょう。
技能実習生の方が受け取る給与は日本の法律によってかならず守られており、日本人労働者の方と同じく最低賃金以上の支払いが義務づけられています。
この制度の基本的なルールや、給与明細の見かた、そして少しでも手取りを増やすための具体的な方法について、わかりやすくお伝えいたします。
日本で働く技能実習生の方が、安心して生活し技術を学ぶためにかならず知っておくべき給与に関する大切な知識をまとめています。
技能実習生の給与水準と法律のルール

技能実習生の方が安心して働くためには、まず給与に関する法律のルールを正しく理解しておくことが必要です。
企業はどのような基準で給与を決めなければならないのか、また、ご自身の給与が適正かどうかを判断するための最低ラインについて見ていきましょう。
給与に関する疑問や不安を解消し、日本での実習をより良いものにするために、かならず知っておきたい基本的な知識を詳しく解説していきます。
① 法律でかならず定められた賃金の最低基準とは
技能実習生の給与水準は、日本の労働基準法にもとづいてかならず最低賃金以上でなければならないと定められています。
最低賃金とは国が定めた賃金の最低額のことで、企業は外国人労働者である技能実習生に対してこの金額以上の給与を支払うことが義務づけられています。
この賃金には、「地域別最低賃金」と「特定・産業別最低賃金」の二種類があり、どちらか高い方の金額がかならず適用されるということを知っておく必要があります。
特定・産業別最低賃金は、特定の産業や職種において、地域別最低賃金よりも高い水準が設定されている場合に適用されます。
もし最低賃金を下回る給与が提示されたり、実際に支払われたりする問題があった場合は、それは法律違反となりますので、かならず相談窓口へ連絡してください。
▶︎ご自身の「地域別最低賃金」を確認する
▶︎ご自身の「特定・産業別最低賃金」を確認する
② 日本人労働者との給与差はどのくらいあるのか
技能実習生が受け取る給与は、日本人労働者の方と同等の水準でなければならないと法律で定められています。
「同一労働同一賃金」の原則に基づき、同じ仕事をしているのに外国人という理由だけで賃金を低く設定することは認められていません。
そのため、給与が安すぎると感じた場合は、同じ企業で同じ仕事をしている日本人の方の給与と比べてみることが大切です。
技能実習制度は技術を学ぶための制度ですが、労働者としての権利はしっかりと守られていますので、不当な給与格差は生じないはずです。
【職種別】技能実習生の給与の目安・相場

ここでは、さまざまな職種における技能実習生の給与の目安について見ていきましょう。
ご自身が働く職種の相場を知ることは、提示された給与が適正かどうかを判断するうえで大変重要になります。
特に人気の高い職種や、体力的にも大変な職種では、給与水準がどのように設定されているのかを確認しておきましょう。
以下の表は、一般的な月額給与のイメージとして参考にしてください。
| 職種 | 月額給与の目安(手取り前) |
|---|---|
| 建設・土木 | 18万円〜25万円 |
| 農業・漁業 | 16万円〜22万円 |
| 製造業(機械・金属加工など) | 17万円〜24万円 |
| 飲食料品製造業 | 16万円〜23万円 |
| 介護 | 17万円〜25万円 |
給与計算でかならず知りたい!天引きの仕組み
毎月の給与明細を見て、額面の金額よりも手取りの金額がずいぶん少ないと感じる外国人の方も多くいらっしゃると思います。
給与から引かれる天引きの項目は、税金や保険料などさまざまな種類があり、それぞれ大切な意味を持っているのです。
ここでは、給与明細を正しく理解し、どのようなお金が何のために引かれているのかという、天引きの仕組みについてわかりやすく解説します。
① 給与明細を正確に理解するための基礎知識
給与明細には、給与の総額である「支給額」と、そこから引かれる「控除額」、そして実際に手元に残る「差引支給額」、つまり手取り額が記載されています。
これらの項目は、毎月の給与計算が正しく行われているかを判断するためにかならず確認すべき大切な部分です。
特に重要な三つの項目とその具体的な内容を、以下の表にまとめましたので参考にしてください。
| 項目 | 内容 | 具体例 |
|---|---|---|
| 支給額 | 企業から支払われる給与の総額 | 基本給、時間外労働に対する割増賃金、通勤手当など |
| 控除額 | 支給額から差し引かれるお金 | 所得税、住民税、社会保険料、宿舎費、食費など |
| 差引支給額 | 実際に手元に残る金額(手取り) | 支給額から控除額を引いた金額 |
支給額の項目には、基本給のほかに時間外労働に対する割増賃金や各種手当が正しく含まれているか、かならず確認してください。
控除額の欄には、所得税や住民税といった税金と、健康保険料や厚生年金保険料などの社会保険料がかならず記載されているのが一般的です。
給与明細は給与計算が正しく行われたことを証明する大切な書類なので、かならず毎月確認し保管しておく必要があります。
② 給与から引かれる税金や社会保険料について
ここでは、給与から引かれる税金だけでなく、万が一のときにかならず私たちを守ってくれる社会保険料についても詳しく解説します。
天引きされるお金が何のために使われているのかを知ることは、ご自身の日本の生活を守るために必要な知識です。
特に、病気や老後に備える大切な制度について、以下の表で理解を深めていきましょう。
| 種類 | 名称 | 概要と使途 |
|---|---|---|
| 税金 | 所得税 | 国に納める税金で、収入額に応じて計算されます。国の社会保障や公共サービスに使われます。 |
| 税金 | 住民税 | 住んでいる地域に納める地方税で、地域の教育やごみ処理などの行政サービスに使われます。 |
| 社会保険 | 健康保険料 | 病気やケガで病院にかかったときの、医療費負担を軽くするための保険料です。 |
| 社会保険 | 厚生年金保険料 | 将来、歳をとったときや障害を負ったときに、年金を受け取るための保険料です。 |
| 社会保険 | 雇用保険料 | 仕事を失った場合や育児・介護で休業する際に、給付金を受け取るための保険料です。 |
給与から差し引かれるこれらの税金と社会保険料は、日本の社会で生活していくうえでかならず必要になる仕組みを支えています。
技能実習生の方も、日本人労働者の方と同じようにこれらの制度に加入することが労働基準法などで義務づけられており、給与から天引きされることでさまざまな安心と生活のサポートが得られるのです。
ご自身の給与明細に記載されている金額が、これらの制度に基づき正しく計算されているかを確認することが大切になります。
特に社会保険は、もしものときに大きな助けとなるものですから、その役割を理解し、不安な点があれば監理団体などに相談してください。
③ 宿舎費や食費などの天引きの注意点
ここでは、税金や社会保険料以外で、特に生活に関わる費用として給与から天引きされる可能性のある項目を具体的にご紹介します。
これらの費用は、事前に企業とご本人との間で取り決めが必要なので、給与明細と照らし合わせて確認してください。
| 項目 | 概要 | 天引きの注意点 |
|---|---|---|
| 1. 宿舎費(家賃) | 企業が提供する住居の費用 | 事前同意が必要で、相場と比較して高すぎないか確認が必要です。 |
| 2. 食費 | 企業や共同生活でかかる食事の費用 | 提供される食事の質や量に見合っているか、金額の適正さをチェックしましょう。 |
| 3. 水道光熱費 | 水道代、電気代、ガス代などの実費 | 実費精算が原則です。定額の場合は不当に高くないか確認してください。 |
| 4. 組合費・積立金 | 監理団体や企業独自の費用 | 任意である場合もあり、強制的に引かれていないか確認してください。 |
| 5. その他物品購入費 | 作業服や生活用品を立て替えた費用 | 立て替え払いの場合のみ引かれ、金額の根拠をかならず確認してください。 |
企業によっては、技能実習生の方が利用する宿舎の費用や食費、水道光熱費などを給与から天引きすることがあります。
これらの天引きを行う場合、かならず事前にご本人からの同意を得ることが必要で、勝手に給与から差し引くことは認められていません。
特に宿舎費や食費の金額が相場と比べて高すぎるのではないか、といった問題を感じたときは注意が必要です。
給与の手取り額が極端に少なくならないよう天引きされる金額が適正であるか、そして事前に納得のいく説明があったかをかならず確認してください。
技能実習生の給与に関する知っておくべきポイント

給与に関する問題や疑問が生じたとき、どのように対処すれば良いのかを知っておくことは、日本での生活において大変重要です。
ここでは、もし給与に不満を感じた場合や、企業が利用できる補助金制度、そして特に給与水準が気になる職種である介護職について解説します。
技能実習生の方が、不当な状況に置かれることなく、正当な給与を受け取れるようサポートするための大切な情報となります。
① 給与が相場よりも安いと感じたときの対処法
ご自身の給与が地域の最低賃金や職種の相場と比べて安いと感じた場合、まずは企業や監理団体に相談することが第一に必要です。
それでも問題が解決しないときは、技能実習制度を監督している外国人技能実習機構や労働基準監督署などの公的な機関に相談してください。
これらの機関では、技能実習生の方の労働条件に関する相談を無料で受け付けており、不当な賃金が支払われていないか調査してくれます。
声を上げることは勇気がいるかもしれませんが、ご自身の正当な権利を守るための大切な一歩になるはずです。
② 企業が活用できる給与に関する補助金制度
外国人技能実習生を受け入れている企業の中には、給与支払いや実習環境の整備に関する補助金や助成金を活用している場合があります。
これらの補助金制度は、企業が技能実習生により良い給与や労働条件を提供できるように支援することを目的としています。
企業がこれらの制度を活用することで、技能実習生の給与水準が向上したり、福利厚生が充実したりすることが期待できます。
企業が制度を適切に利用しているかは給与に直接関係する部分ではありませんが、制度として存在することを知っておくと良いでしょう。
③ 特に給与が気になる介護職種の現状
介護の分野は、人手不足が深刻な問題となっているため、技能実習生やその後の特定技能外国人の方の活躍が特に期待されています。
介護職種の給与は、他の職種と比べて比較的高めに設定される傾向がありますが、夜勤や体力的な負担が伴うことも多いです。
近年では、介護人材の処遇改善を目的とした国の制度により、給与水準が引き上げられる取り組みが積極的に行われています。
介護の仕事に興味がある方は、給与だけでなく、働きやすさやキャリアアップの可能性も考慮して検討することが必要です。
技能実習生が給与の手取りを増やす方法

給与の額面をすぐに上げることは難しくても、手取り額を増やすために個人でできる工夫はさまざまあります。
ここでは、税金に関する正しい知識を身につけることや、日々の生活でできる節約術、そして将来的な待遇改善につながる取り組みをご紹介します。
ほんの少しの知識や心がけで、日本での生活をより豊かにするためのヒントとなりますので、ぜひ実践してみてください。
① 控除を漏らさずに確定申告をする
外国人である技能実習生の方も、日本で一年間の所得に対して納めすぎた税金がある場合、確定申告をすることで税金が戻ってくる可能性があります。
例えば、家族を養っている場合などに受けられる扶養控除など、給与から自動的に引かれない控除を申請することが必要です。
企業が年末調整をしてくれない場合や、実習途中で帰国する場合などは、特にご自身で確定申告をするか専門家に相談してください。
正確な給与計算と控除の適用は、手取り額を増やし、不当な税金の支払いを避けるためにかならず必要な手続きなのです。
② 生活にかかるコストを節約する
給与の手取りを実質的に増やすためには、毎月の生活費をいかに節約するかが大切なポイントになります。
特に家賃や食費といった大きな支出について、共同生活をすることで宿舎費を抑えたり、自炊を心がけて食費を管理したりする工夫が有効です。
また、携帯電話の料金や日用品の購入方法を見直すなど、小さな節約を積み重ねることも必要になるでしょう。
無駄な出費を減らすことは、給与の額面が変わらなくても、手元に残るお金を増やすことにつながります。
③ 日本語能力を高めて待遇を改善する
日本語能力は、単にコミュニケーションのためだけでなく、企業での評価や将来の待遇改善に大きく影響します。
高い日本語能力を持つことは、より複雑な業務を任されるチャンスにつながり、それが昇給や昇格、または特定技能制度への移行に役立つ可能性があります。
日本語能力試験であるJLPTなどで高いレベルを取得することで、企業にとってより必要な人材と見なされ、結果的に給与の改善が期待できます。
自己投資として日本語の学習に取り組むことは、日本でのキャリアを長く続けるうえでかならず報われることでしょう。
技能実習生の給与に関するよくある質問(FAQ)
技能実習生の給与や労働条件については、多くの方がさまざまな疑問を抱いています。
ここでは、給与の受け取り方や天引きに関する不安、税金の種類など、特に頻繁に寄せられる質問にお答えしますね。
疑問を解消し、安心して実習に取り組むための知識として、ぜひ参考にしてください。
① 技能実習生の給与明細は日本語で渡されますか
はい、技能実習生の給与明細はかならず日本語で交付されることが一般的ですが、外国人の方が理解できるよう、やさしい日本語や母国語での注釈が加えられることが望ましいとされています。
給与明細は給与計算の内容を証明する大切な書類なので、企業は技能実習生の方がその内容を正確に理解できるよう配慮することが必要です。
もし内容が理解できない場合は、かならず監理団体の担当者や通訳を介して説明を求めてください。
② 給与からの不当な天引きがあった場合どうすれば良いですか
給与から不当な天引きが疑われる場合、まずは給与明細と労働契約書を確認し、何が引かれているのかを特定することが必要です。
そのうえで、監理団体や企業の人事担当者に詳細な説明を求め、納得のいく回答が得られない場合は、外国人技能実習機構や労働基準監督署に相談してください。
不当な天引きは法律で禁止されている問題なので、ご自身の権利を守るためにも速やかに専門機関に連絡することが大切です。
③ 技能実習生の給与に影響する税金の種類は何ですか
技能実習生の給与に影響する主な税金は、所得税と住民税の二種類です。
所得税は毎月の給与から源泉徴収されることが多く、住民税は前年の所得に基づいて計算され、翌年から天引きされることが一般的です。
日本で働く外国人の方も、原則として日本人の方と同じように税金を納める義務があり、この税金の支払いが手取り額を減らす大きな要因になります。
④ 技能実習生は来日後いつから給与をもらえますか
技能実習生は入国後の講習期間中から給与をもらえることが法律で定められており、この期間中は賃金が支払われないという問題は原則としてありえません。
ただし、講習期間中の賃金は、実習開始後の賃金とは異なる場合があるため、労働契約書で金額をかならず確認しておく必要があります。
企業が賃金を支払うのは、実習生の方が労働者として働き始めた時からではなく、講習を受け始めた時からだということを覚えておいてください。
⑤ 手取りを増やすために個人でできる工夫はありますか
手取りを増やすために個人でできる工夫としては、まず食費や光熱費などの生活費を節約することが挙げられます。
また、扶養控除などの税金の控除制度について正しく学び、必要であれば確定申告を行うことで、納めすぎた税金を取り戻すことも有効な方法です。
さらに、日本語能力の向上に励み、将来的に特定技能制度へ移行することで、より高い給与水準を目指すことも視野に入れてください。
まとめ
技能実習生の給与は「安い」というイメージを持つ方もいるかもしれませんが、日本の法律により最低賃金以上の支払いがかならず義務づけられています。
給与の適正額や手取り額を正しく理解するためには、労働基準法や最低賃金の知識、そして給与明細の読みかたを身につけることが必要です。
給与から天引きされる税金や社会保険料は、技能実習生の方の生活と安心を守る大切な制度の費用です。
もし相場よりも給与が安いと感じたり、不当な天引きの問題に直面したりした場合は、一人で悩まずに監理団体や公的な相談機関にかならず連絡してください。
そして、手取り額を少しでも増やすためには、税金に関する知識を深め、生活コストを節約し、日本語能力を高めてより良い待遇を目指すことが大切です。
この記事が、日本で頑張る外国人の方々が、安心して実習に取り組み、適切な給与を受け取るための助けになれば幸いです。
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