外国人雇用労務士とは?試験概要・年収・意味ないと言われる理由

「外国人雇用労務士ってどんな資格?」
「試験の概要を詳しく知りたい」
「意味ないって言われる理由は?」
外国人雇用に関する資格はいくつかありますが、幅広い知識を学べると注目を集めているのが「外国人雇用労務士(外労士)」です。
外国人雇用労務士は外国人雇用に関する幅広い知識を証明する資格である一方で”意味ない”と言われることもあるなど、評価が人によって大きく異なる特徴があります。
本記事では、外国人雇用労務士の試験概要や意味ないと言われ理由、取得のメリットなどについて詳しく紹介しますので、外国人雇用労務士の取得を考えている方はぜひ最後まで読んでみてください。
外国人雇用労務士(外労士)とは?
外国人雇用労務士(外労士)は、外国人労働者の雇用に関する幅広い知識と実務対応力を証明する民間資格です。
2022年に設立され、適法かつ円滑な外国人雇用を実現し、トラブルや不法就労を防ぐことを目的に入管法、労働基準法、人事・労務管理、外国人労働者の人権や採用・育成などの幅広い知識を学ぶことができます。
外国人雇用労務士試験の概要

外国人雇用労務士試験の概要について詳しく紹介します。
外国人雇用労務士試験の試験内容
外国人雇用労務士試験の試験内容は以下のとおりです。
区分 | 内容 |
---|---|
試験方式 | IBT方式(オンライン受験可、自宅から受験可能) |
問題形式 | 四肢択一式(80問) |
試験時間 | 本人認証30分+回答120分(合計150分) |
出題範囲 | 1. 外国人雇用総論(背景・在留資格) 2. 外国人労働者の人権 3. 採用と入管法 4. 労務・法務 5. 人事制度と人事管理 |
特徴 | 公認テキストに準拠して出題される傾向が強い |
外国人雇用労務士試験の試験日
外国人雇用労務士試験は年に2回(春と冬)行われることが多く、2025年度は5月25日(日)と11月22日(日)に試験が行われます。
直近に行われる2025年11月22日の試験の申し込み期間は6月1日〜11月22日までと、試験の直前まで申し込みできますが、忘れないように早めに申し込みすることがおすすめです。
外国人雇用労務士試験の合格率
外国人雇用労務士試験の合格率は、おおよそ67%前後です。
第2回(2023年5月)の合格率は約67.05%(受験者171名・合格116名)、第5回(2024年11月)の合格率:約67.6%(受験者244名・合格165名)というような合格率となっています。
ほかの資格と比べても合格率が高いため、取得しやすい資格としても知られています。
外国人雇用労務士試験の勉強時間
外国人雇用労務士試験の公式サイトでは、1ヶ月〜2ヶ月間の勉強が想定されていますが、合格者の声を聞いてみると20時間〜30時間で合格したという声も多く報告されています。
基本的には公認テキストを何周か繰り返し勉強することで合格を目指すため、自分が納得できるまで公認テキストを勉強できれば合格の可能性は高くなるでしょう。
外国人雇用労務士試験の過去問
外国人雇用労務士試験の過去問は公開されていません。
公式サイトの「第1回 外国人雇用労務士試験 直前対策ウェビナー」の動画では模擬問題が公開されているほか、Manten Educationの「外国人雇用労務士 – 模擬問題 第7回【10問】」などでも模擬問題が公開されています。
外国人雇用労務士試験のおすすめテキスト
外国人雇用労務士試験の公式公認テキストブックは「外国人材の雇用に携わる方のための必須資格(杉田昌平ほか著)」です。(杉田昌平ほか著、約3,850円程度)
Amazonや楽天市場などで3,850円ほどで販売されています。
「外国人材の雇用に携わる方のための必須資格」は外国人雇用労務士試験に欠かせない入管法、労務、法務、採用、人事管理といった知識はもちろん、実務にも活用できる実践的な内容が含まれているため、多くの合格者が使用するテキストです。
外国人雇用労務士(外労士)の平均年収

外国人雇用労務士は2022年11月27日に第1回の試験が開始された比較的新しい民間資格であるため、外国人雇用労務士を取得した人の平均的な年収の統計データはありません。
外国人労働者を多く雇用する企業であれば資格手当に期待ができたり、コンサルタントとして企業に関わることもできるため、資格の活用方法によって年収は大きく変わるでしょう。
外国人雇用労務士(外労士)と外国人雇用主任者の違い
外国人雇用労務士と外国人雇用主任者は似たようなシーンで活用される資格ですが、大きな違いがあります。
外国人雇用労務士と外国人雇用主任者の違いをざっくりと説明すると、外国人を雇用する現場の人事担当が知っておくべき知識を抑えられるのが「外国人雇用主任者」、外国人雇用に関する幅広い労務・法務の知識を持ち、コンサルタントとして企業にアドバイスできる知識を付けられるのが「外国人雇用労務士」という違いがあります。
外国人雇用労務士と外国人雇用主任者の違いは以下の表を参考にしてみてください。
外国人雇用労務士 | 外国人雇用管理主任者 | |
---|---|---|
認定開始 | 2022年 | 2019年 |
主管団体 | 一般社団法人全国外国人雇用推進機構 | 一般社団法人日本職業教育振興会(外国人雇用支援センター) |
資格の目的 | 外国人人材の採用から在留管理・定着支援までトータルにサポート | 中小企業を中心に、外国人雇用の実務担当者能力を底上げ |
資格取得方法 | CBT形式の試験(IBT) | 研修(1日~)受講+修了テスト |
試験日/頻度 | 年2回程度 | 年1回程度 |
受験料 | 約8,500円 | 約20,000~30,000円(研修+テスト) |
試験時間・問題数 | 本人認証30分+回答120分(合計150分)/四肢択一式(80問) | 約2時間/40問 |
合格基準 | 正答率70%以上 | 60~70%程度(年度によって変動) |
資格有効期間・更新 | 2年 | 3年 |
主な活用シーン | コンサルティング会社、社内サポートセンターなど | 企業の人事担当者、現場リーダー |
外国人雇用労務士(外労士)が意味ないと言われる理由

外国人雇用労務士が意味ないと言われる理由は以下のとおりです。
・国家資格ではなく民間資格だから
・認知度が低いから
・内容が既存資格と重複しているから
・就職や転職に直結しにくいから
・実務経験の方が重視されるから
それぞれの理由について、詳しく紹介します。
①国家資格ではなく民間資格だから
外国人雇用労務士は国家資格ではなく、民間団体(一般社団法人 全国外国人雇用推進機構)が認定する資格 です。
「社労士」や「行政書士」のように独占業務(資格がないとできない仕事)がないため、資格を持っていても法的に特別な権限が与えられないことから、資格を持っているだけでは仕事に直結しないこともあるため意味がないと言われる場合があります。
②認知度が低いから
外国人雇用労務士は2022年に創設されたばかりで、まだ世間や企業での知名度が低いです。
そのため、採用担当や経営者の間でも「外労士って何?」という反応が多い段階となるため、資格の価値を知らない人が多く、アピールにならない場合もあります。
③内容が既存資格と重複しているから
外国人雇用労務士では外国人雇用に関する内容を網羅した出題範囲となるため、「入管法」「労働基準法」「人事・労務管理」なども含まれますが、これらは社会保険労務士(社労士)や行政書士といった権威性の高い資格が専門領域として扱っている分野となります。
そのため、外国人雇用労務士ではなく社労士や行政書士のほうが優れていると考えられる場合もあります。
④就職や転職に直結しにくいから
外国人雇用労務士を持っているから就職や転職に有利になるケースは少なく、あくまで外国人雇用に対する専門的な知識を持っていることを証明する程度の効果しか期待できないことも多いです。
⑤実務経験の方が重視されるから
外国人雇用は制度の知識だけでなく、実務対応(入管とのやり取り、在留資格変更、外国人社員の労務管理)が重要となるため、資格や知識よりも実務経験を重視する現場も多くあります。
そのため、外国人雇用労務士を取得していても実務経験が乏しいと経験不足と判断される可能性もあります。
外国人雇用労務士(外労士)を取得するメリット

外国人雇用労務士を取得するメリットは以下のとおりです。
・外国人雇用手続きのを円滑に進められる
・法令・労務管理の知識を幅広く習得できる
・外国人雇用に専門的な知識を持つことの証明になる
・安定した外国人雇用の環境づくりができる
それぞれのメリットについて、詳しく解説します。
① 外国人雇用手続きのを円滑に進められる
入管手続や在留資格の取得・更新など、外国人雇用に伴う複雑な事務を正確かつ効率的に進められるようになります。
法的要件や必要書類を体系的に理解することで、申請ミスや不備による遅延・罰則リスクを軽減し、企業と外国人労働者双方の負担を減らせます。
② 法令・労務管理の知識を幅広く習得できる
入管法、労働基準法、人事・労務管理など幅広い分野を体系的に学び、外国人雇用に必要な法律をしっかりと守る力を高められます。
最新の法改正や制度変更にも対応でき、現場での判断力や提案力が向上するため、企業内での信頼性や専門性の裏付けにもつながります。
③ 外国人雇用に専門的な知識を持つことの証明になる
外労士資格は外国人雇用分野に特化した知識を持つことの証明となり、採用担当者や経営層へのアピール材料になります。
特に外国人労働者の受け入れを強化する企業や、多国籍な職場環境では差別化要素となり、業務の幅や役割拡大にもつながります。
先ほどもお伝えしたとおり、比較的新しい資格となるため、外国人雇用労務士を知らない人にも資格内容を説明できるようにしておくといいでしょう。
④ 安定した外国人雇用の環境づくりができる
在留資格や労務管理の不備は、企業にとって大きなリスクとなります。
外労士としての知識を活用すれば、制度違反や契約トラブルを未然に防ぎ、問題発生時にも迅速かつ適切な対応が可能となるため、安定した雇用環境の構築に貢献できます。
外国人雇用労務士(外労士)に関するよくある質問
外国人雇用労務士に関するよくある質問をQ&A形式で紹介します。
Q1.外国人雇用労務士試験の難易度は高いですか?
外国人雇用労務士試験の合格率は約67%となっており、比較的合格率の高い資格です。
そのため、試験の難易度は比較的易しいとされていますが、内容が専門的な知識を幅広く学ぶ必要があるため、簡単に取得することはできません。
Q2.外国人雇用管理士は国家資格ですか?
外国人雇用労務士は国家資格ではありません。
一般社団法人全国外国人雇用サポート協会が認定する民間資格です。
まとめ|外国人雇用労務士は外国人雇用に関する幅広い知識を証明できる
本記事では、外国人雇用労務士の試験概要や意味ないと言われ理由、取得のメリットなどについて詳しく紹介しました。
外国人雇用労務士は比較的新しい資格となるため認知度はそれほど高くありませんが、外国人雇用に関する幅広い知識を学ぶことができるため、取得することに損はありません。
しかし、社会保険労務士(社労士)や行政書士などの資格と内容が被る部分もあるため、認知度の高い資格を取得したほうが資格の効果を実感できる可能性が高いでしょう。
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