【2025年最新】外国人労働者の離職率や定着率を高める施策を紹介

「外国人労働者の離職率はどのくらい?」
「退職する理由は?」
「どうすれば定着率を高められる?」
外国人労働者はすぐに辞めてしまうというイメージを持っている方も多いかもしれませんが、実際に離職率はどのくらいで、日本人と比べてどのくらい離職率は高いのでしょうか。
また、外国人労働者の離職率が高いのであれば、どのような対策が効果的なのでしょうか。
本記事では、外国人労働者の離職率や退職する理由、定着率を高める方法・事例などについて詳しく消化しますので、外国人労働者の離職に悩みを抱えている方は最後まで読んでみてください。
【2025年最新】外国人労働者の離職率(定着率)

厚生労働省の「直接雇用の外国人労働者の入職、離職状況」やe-Stat「外国人雇用実態調査」などを参考に外国人労働者の離職率は、全体で45.9%であることが分かりました。
日本の常用労働者全体の平均離職率は15.4%ですので、外国人労働者の離職率は非常に高いことが分かります。(出典:厚生労働省「令和5年雇用動向調査結果の概要」)
離職率に関連する具体的な数値については以下の表を参考にしてみてください。
区分 | 基準数 (人) | 入職者数 (人) | 入職率 (%) | 離職者数 (人) | 離職率 (%) | 純増数 (人) | 純増率 (%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
合計 | 130,440 | 74,612 | 57.2 | 59,862 | 45.9 | 14,750 | 11.3 |
外国人労働者の産業分類別の離職率
外国人労働者の産業分類別の離職率などの数値は以下のとおりです。
産業 | 基準数 (人) | 入職数 (人) | 入職率 (%) | 離職数 (人) | 離職率 (%) | 純増 (人) | 純増率 (%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
農業 | 359 | 173 | 48.2 | 107 | 29.8 | 66 | 18.4 |
林業 | 3 | 2 | 66.7 | 1 | 33.3 | 1 | 33.3 |
漁業 | 228 | 208 | 91.2 | 84 | 36.8 | 124 | 54.4 |
鉱業 | 44 | 6 | 13.6 | 3 | 6.8 | 3 | 6.8 |
建設業 | 2,653 | 1,028 | 38.7 | 654 | 24.7 | 374 | 14.1 |
製造業 | 80,227 | 48,986 | 61.1 | 41,129 | 51.3 | 7,857 | 9.8 |
電気・ガス 熱供給・水道業 | 34 | 8 | 23.5 | 6 | 17.6 | 2 | 5.9 |
運輸・通信業 | 5,163 | 2,761 | 53.5 | 2,357 | 45.7 | 404 | 7.8 |
卸売・小売業 飲食店 | 12,165 | 7,294 | 60.0 | 4,417 | 36.3 | 2,877 | 23.6 |
金融・保険業 | 1,818 | 670 | 36.9 | 378 | 20.8 | 292 | 16.1 |
不動産業 | 181 | 91 | 50.3 | 44 | 24.3 | 47 | 26.0 |
サービス業 | 27,565 | 13,385 | 48.6 | 10,682 | 38.8 | 2,703 | 9.8 |
その他 | 0 | 0 | — | 0 | — | 0 | — |
事業所規模別にみた外国人労働者の離職率
事業所規模別にみた外国人労働者の離職率などの数値は以下のとおりです。
規模 | 基準数 (人) | 入職数 (人) | 入職率 (%) | 離職数 (人) | 離職率 (%) | 純増数 (人) | 純増率 (%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1〜4人 | 437 | 277 | 63.4 | 181 | 41.4 | 96 | 22.0 |
5〜29人 | 8,782 | 4,973 | 56.6 | 3,926 | 44.7 | 1,047 | 11.9 |
30〜49人 | 10,050 | 5,720 | 56.9 | 4,342 | 43.2 | 1,378 | 13.7 |
50〜99人 | 17,780 | 9,398 | 52.9 | 7,927 | 44.6 | 1,471 | 8.3 |
100〜299人 | 13,146 | 6,541 | 49.8 | 5,445 | 41.4 | 1,096 | 8.3 |
1,000人以上 | 13,349 | 8,731 | 65.4 | 7,226 | 54.1 | 1,505 | 11.3 |
外国人労働者が離職・退職する理由・原因

外国人労働者が離職・退職する理由・原因は以下のとおりです。
① 言語の壁によるコミュニケーション不足
② 文化・職場慣習の違い
③ 労働条件・待遇の不一致
④ キャリアパスの不透明さ
⑤ 差別・ハラスメント
⑥ 生活環境の困難
⑦ 在留資格・手続きの負担
⑧ 職務・スキルのミスマッチ
それぞれの理由・原因について、詳しく解説します。
①言語の壁によるコミュニケーション不足
日本語の指示や専門用語が十分に理解できないと、業務の誤解やミスが増え、相談や報告も控えがちになります。
また、意思疎通の不足は孤立感と不安を生み、評価低下や成長停滞という悪循環に陥るリスクもあります。
②文化・職場慣習の違い
暗黙の了解や上下関係、報連相など日本特有の慣習に馴染めないと居心地が悪くなってしまいます。
また、成果よりプロセスが重視される場面で不公平感が募り、関係悪化と意欲低下を招きます。
③労働条件・待遇の不一致
長時間労働や残業代未払い、想定以下の賃金水準などの条件不一致は生活を不安定にします。
仕送りや学費負担がある場合は影響が大きく、より良い待遇を求めて転職や帰国するというケースも多いです。
④キャリアパスの不透明さ
昇進基準が曖昧でスキルを活かす配置や研修機会が限られると将来性を見出すことが難しくなってしまいます。
そのため、成長の手応えが乏しい状態が続くと市場価値維持を優先し、他社や他国での選択を検討することも増えてしまうのです。
⑤差別・ハラスメント
国籍や宗教などに関係する心ない発言や役割の固定化、昇進機会の不平等は心理的安全性を大きく損ないます。
相談窓口や社内で改善できない場合は退職という選択肢を取らざるを得なくなります。
⑥生活環境の困難
住宅確保の難しさや高額な家賃、保証人の問題、交通の不便さ、低い日本語力など、生活基盤の脆弱さによって日本での暮らしが難しくなり、帰国という選択を取る人も多いです。
ほかにも、地域とのつながりが乏しいと孤立が深まることや、残業による生活リズムの悪化や宗教儀式などと時間が合わないなどの生活環境も要因のひとつとなります。
⑦在留資格・手続きの負担
在留資格の更新要件や就労範囲の制約、複雑な書類手続きは、雇用の継続に直接影響します。
所属する企業がしっかりと支援してくれないと手続きの負担や更新に対する不安などが募り、手続きが容易で支援の手厚い職場や国へ移る選択肢を取る人も多いです。
⑧職務・スキルのミスマッチ
採用時の説明不足や過度な期待により、実務内容や必要スキルが想定と異なると早い段階で自分に合っていない仕事だと判断して離職につながります。
また、十分なOJTや配置転換がない場合、納得感を得られず離職に至ります。
外国人労働者の定着率を高める方法・施策

外国人労働者の定着率を高める方法・施策には以下のようなものがあります。
① 採用ミスマッチを減らす
②入社後に短いスパンのフォローアップを行う
③ メンター・バディと社内コミュニティ
④定期的に1対1の面談を行う
⑤ キャリアパスと評価・報酬の透明化
⑥ 日本語・業務日本語の学習支援
⑦ 異文化理解と管理職向け研修
⑧国籍や宗教行事への配慮
⑨ 生活・在留手続きの伴走支援
それぞれの方法・施策について詳しく紹介します。
①採用ミスマッチを減らす
採用段階で動画や職場見学を活用し、シフト例や評価基準を具体的に示します。
リアルな業務イメージを伝えることで入社後のギャップを減らし、早期離職を抑制します。
②入社後に短いスパンのフォローアップを行う
母語ややさしい日本語で就業規則や安全ルールをまとめたチェックリストを提供し、入社後30/60/90日ごとの到達目標を明文化します。
外国人労働者に分かりやすく説明したうえで短いスパンでのフォローアップを実施することで、理解不足による混乱を防ぐことが可能です。
③いつでも相談できる環境を作る
業務評価とは関係のない相談窓口やメンター、バディなどを配置することで相談しやすい環境を作ることができ、孤独感や相談できないストレスを感じにくくすることができます。
ほかにも、外国人社員同士の交流会なども定期的に開催することで心理的な不安を解消することができます。
④定期的に1対1の面談を行う
定期的に1対1での面談を行うことで、困りごとや学習頻度、業務内容などを細かく把握することができます。
フォロー体制をしっかり整えることで、外国人労働者が抱えるリアルな悩みを素早く解決することができます。
⑤ キャリアパスと評価・報酬の透明化
スキルマップや昇進要件、評価サイクルを図解で共有。各ステップと報酬増額の関係を見える化し、目標達成へのモチベーションを喚起することで、納得感が高まり定着意欲が向上します。
⑥ 日本語・業務日本語の学習支援
業務時間内に日本語学習を組み込み、用語集や対訳マニュアル、翻訳ツールガイドを整備することで言語による不安を解消することができます。
ほかにも資格受験費用補助や社内講座を提供し、実務でのコミュニケーション能力を底上げすることで高い効果に期待できます。
⑦ 異文化理解と管理職向け研修
上司や管理職向けに異文化コミュニケーション研修を実施することで、外国人労働者へ正しく接することができます。
指示の出し方やフィードバック技法を演習形式で学び配慮ある対応を定着させることで、外国人社員の安心感を感じてもらいやすくなります。
⑧国籍や宗教行事への配慮
国籍によっては宗教行事や食事制限なども考えられるため、シフトなどは事前に確定するようにして、急な残業や出勤などは極力発生しないよう環境づくりが大切です。
また、宗教による制限がある場合は事前に明確にしておくことで配慮しやすくなります。
⑨ 生活・在留手続きの伴走支援
住居探しや銀行口座開設、在留資格更新などの手続きを多言語ガイドと同行サポートで支援することで、外国人労働者へ安心した日本での生活を提供することができます。
外部専門家と連携することで、さらに職場外の不安を軽減して安心して就労継続できる環境を整えることが可能です。
外国人労働者の定着率を高めた事例

外国人労働者の定着率を高めた事例を3つ紹介します。
事例①:大手製造業のケース
大手製造業では、外国人労働者向けに専任スタッフを全国主要拠点に配置し、日本語研修や住居手配、家族帯同手続き、行政窓口サポートなど生活全般を包括的に支援した事例。
さらに、月1回の懇談交流会やOJTメンター制度、四半期評価面談を導入し、社内SNSで日々の業務情報やキャリア相談を双方向で運用を実施する。
多角的なフォローにより異文化適応を促進し、導入1年後には定着率が約30%上昇し、生産性も向上。離職期間が従来比で20%短縮し、採用コスト削減にも貢献しました。
事例②:IT企業のケース
IT企業では、外国人向けに技術トレーニングと日本語講座をセットで提供した事例。
メンターによる定期的な1on1面談で課題共有とキャリア開発支援を行い、プロジェクト参画後にはフォローアップ研修を実施しました。これにより、導入前の離職率40%が半年で15%に改善。さらに、社内勉強会やオンラインコミュニティを活用した継続学習支援、四半期ごとのフィードバックアンケートとOJT評価を導入したことで定着率と業務効率を高めました。
事例③:飲食業チェーンのケース
飲食業チェーンでは、多言語対応の業務マニュアルと動画チュートリアルを整備し、バディ制度や月次フォローアップを導入した事例。
文化交流イベントや福利厚生を拡充し、外国人社員と日本人社員のコミュニティを強化しました。6カ月後には社員満足度が20%向上、研修後1年の定着率も大幅改善。また、店舗間異動とスキルアップ支援プログラムを併用し、離職リスクを抑制。手続きサポートや住宅手配、店舗マネジメント研修と労働時間見直しも同時に実施し、生活面と職場環境の両面で安定を図りました。
外国人労働者の離職率(定着率)に関するよくある質問
外国人労働者の離職率(定着率)に関するよくある質問をQ&A形式で紹介します。
Q1.日本の労働者の何割が外国人労働者ですか?
厚生労働省の最新データによると、日本の外国人労働者数は約230万人で過去最多を更新しました。
同時期の生産年齢人口(15〜64歳)は約7,373万人なので、単純計算すると全労働者の約3%前後が外国人労働者ということになります。
(出典:厚生労働省「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和6年10月末時点)」)
まとめ|外国人労働者の離職率を下げるためにはしっかりとした対策が必要
本記事では、外国人労働者の離職率や退職する理由、定着率を高める方法・事例について詳しく解説しました。
外国人労働者が日本で働く場合、言語の壁や文化の違い、生活環境の変化などから離職率がどうしても高くなる傾向にあるため、雇用する企業としてはしっかりとした定着率アップのための対策をする必要があります。
株式会社ヒトキワでは、5000名以上の人材データベースから即戦力の外国人人材を紹介料・成功報酬一切なし、つまり採用コスト0円で人材確保できるサービスを提供しています。