【保存版】永住者と特別永住者の違いをわかりやすく解説！
永住者と特別永住者はどちらも日本で安定して暮らすための資格ですが、国籍の有無や取得方法に大きな違いがあります。
永住者は申請による審査が必要で、素行や収入などが条件です。特別永住者は戦前から日本に住んでいた人々やその子孫に与えられる資格で、申請不要で強い保護を受けます。
さらに帰化との比較を通じて、国籍を持つことの意味や権利の範囲も理解できます。
本記事では制度の違いを分かりやすく解説します。
まずは一般永住者と特別永住者の違いをチェック
ここでは永住者と特別永住者の基本的な違いを確認します。
両者は似ているように見えますが、対象者や取得方法に大きな差があります。制度の背景を理解することで、在留資格の選択や生活設計に役立つでしょう。
①一般永住者とは？
一般永住者とは、日本で長期間安定して生活している外国人が申請により取得できる在留資格です。
就労や居住に制限がなく、更新の必要もないため安心して暮らせます。
ただし取得には厳しい審査があり、素行や収入などの条件を満たす必要があります。
具体的な審査項目は以下のとおりです。
| 審査項目 | 内容 |
|---|---|
| 素行要件 | 犯罪歴や法令違反がないこと。交通違反の繰り返しも不利になる可能性あり |
| 独立生計要件 | 安定した収入があり、生活保護に頼らず自立して暮らせること |
| 居住要件 | 原則10年以上日本に居住、そのうち5年以上は就労資格などで生活 |
| 納税・社会保険要件 | 所得税や住民税を滞納なく納付、健康保険や年金に加入していること |
| 総合評価 | 社会的信用や生活基盤を総合的に判断し、安定した暮らしが可能かを確認 |
②特別永住者とは？
特別永住者とは、戦前から日本に住んでいた旧植民地出身者やその子孫に与えられる在留資格です。
申請による取得ではなく、歴史的経緯に基づいて認められています。戦前から日本に居住していた朝鮮半島出身者や台湾出身者、その子孫が中心です。
現在は主に韓国籍や朝鮮籍、中華民国籍（台湾）を持つ方が該当します。
更新の手続きは不要で、退去強制の対象にもなりにくいなど、一般永住者よりも優遇された制度です。
一般永住者と特別永住者の主な違い
ここでは一般永住者と特別永住者の制度上の違いを整理します。
対象者や取得要件、在留カードの有無など細かな点で差があり、生活や手続きに影響します。
比較を理解することで、自身の立場や必要な準備を把握しやすくなるでしょう。
①対象者
一般永住者は、日本で原則10年以上継続して在留し、安定した収入や納税実績、素行の良さを備えた外国人が対象となります。
つまり、現在の生活基盤や社会的信用が重視される制度です。一方、特別永住者は戦前から日本に住んでいた旧植民地出身者やその子孫に限られ、歴史的背景に基づいて自動的に認められる資格です。
対象範囲が大きく異なるため、一般永住者は「現在の条件」、特別永住者は「過去の経緯」に基づく制度といえます。
②取得要件
一般永住者は法務省への申請が必要で、居住年数や収入、納税状況など厳しい審査があります。
外国人が「一般永住者」の資格を得るためには、日本に原則10年以上継続して在留していることが第一条件です。その条件に加えて3つの要件を満たさなければなりません。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 素行が良好であること | 犯罪歴や法令違反がなく、安定した生活態度を示していること |
| 独立の生計を営む資産・技能 | 安定した収入や職業を持ち、扶養家族を含めて生活できる基盤があること |
| 日本国の利益に合すること | 納税や社会保険加入など義務を果たし、日本社会に貢献していると認められること |
一方で特別永住者は申請による取得ではなく、歴史的背景に基づいて自動的に認められます。取得の難易度に大きな差があります。
③在留カードの有無
一般永住者には在留カードが交付され、常時携帯義務が課されています。
カードには有効期限があり、定期的な更新手続きも必要となるため、管理の負担が伴います。
これに対し、特別永住者には「特別永住者証明書」が交付されますが、更新の必要はなく、携帯義務のみが残されています。
つまり、両者は同じように身分証明を求められるものの、更新の有無や手続きの負担に大きな差があり、制度上の扱いの違いが明確に表れています。
④外国人雇用状況届出の要否
一般永住者を雇用する場合は事業者が外国人雇用状況届出を提出する必要があります。
特別永住者は対象外で、届出義務はありません。雇用管理の面でも違いが見られます。
届出には事務負担や期限管理の手間が伴い、情報管理のリスクもあるため、外国人雇用状況届出を提出することは企業にとっては負担となる点がデメリットです。
⑤申請窓口
一般永住者は出入国在留管理庁に申請を行い、厳格な審査を受ける必要があります。
申請書類の準備や審査期間の長さが負担となり、専門家のサポートを利用するケースも多いです。
一方、特別永住者は申請不要で居住地の市区町村から証明書を交付されるため、手続きの負担は大幅に軽減されます。
この窓口の違いは、制度の成り立ちや歴史的背景を反映しており、生活上の安定性にも直結しています。
⑥在留資格の携帯義務
一般永住者は在留カードを常に携帯する義務があり、警察官などから提示を求められた際には速やかに示さなければなりません。
カードには更新期限があり、定期的な更新手続きも必要です。特別永住者も証明書の携帯が求められますが、更新の必要がないため負担は軽く、長期的に安定した生活が可能です。
両者の扱いの差は、制度上の位置づけや保護の度合いを反映しているといえます。
⑦退去強制の可能性
一般永住者は重大な犯罪や法令違反を犯した場合、退去強制の対象となる可能性があります。
永住資格は強い在留権を与えるものの、外国籍である以上は法令違反に対して厳しい措置が取られる仕組みです。
これに対し、特別永住者は歴史的背景から強い保護を受けており、退去強制の対象になることは極めて限定的です。
この違いは生活の安定性に直結し、両者の制度的な性格を明確に示しています。
一般永住者と特別永住者の主な違い一覧
ここまで紹介した一般永住者と特別永住者の主な違いを、一覧表にしてわかりやすくまとめています。
| 項目 | 一般永住者 | 特別永住者 |
|---|---|---|
| 対象者 | 長期間日本に居住し、安定した収入や素行を持つ外国人 | 戦前から日本に住んでいた旧植民地出身者やその子孫 |
| 取得要件 | 原則10年以上の居住、素行良好、安定収入、納税など厳しい審査 | 歴史的経緯に基づき自動的に認められるため申請不要 |
| 在留カードの有無 | 在留カードが交付され、常時携帯義務あり | 特別永住者証明書が交付され、更新不要 |
| 外国人雇用状況届出 | 雇用時に事業者が届出義務あり | 届出義務なし |
| 申請窓口 | 出入国在留管理庁に申請 | 市区町村で証明書交付、申請不要 |
| 在留資格の携帯義務 | 在留カードを常時携帯 | 証明書を携帯するが更新不要で負担軽い |
| 退去強制の可能性 | 重大な犯罪などで退去強制の対象となる | 退去強制の対象になりにくく強い保護あり |
特別永住者は廃止される？
ここでは特別永住者の制度が今後どうなるのかを確認します。
インターネット上では廃止の噂が流れることもありますが、実際には制度の存続が明確に示されています。制度の変遷を理解することで安心して生活できるでしょう。
①特別永住者の制度は廃止されない
特別永住者の制度は廃止されていません。戦前から日本に住んでいた旧植民地出身者やその子孫に与えられる資格であり、歴史的背景に基づいて継続されています。
2012年には外国人登録制度が廃止されましたが、特別永住者制度自体は維持されており、今後も存続するとされています。
(出典：出入国在留管理庁「特別永住者の制度が変わります！」)
②2012年に制度が変わった
2012年に外国人登録法が廃止され、新しい在留管理制度が導入されました。
この際、特別永住者には「特別永住者証明書」が交付されるようになり、外国人登録証明書は廃止されました。
制度は変わりましたが、特別永住者の地位は守られています。
③外国人登録証明書が廃止された
以前は外国人登録証明書が交付されていましたが、2012年以降は廃止されました。
代わりに特別永住者証明書が交付され、更新の必要はなく、携帯義務のみが残されています。これにより、特別永住者の生活はより安定したものとなっています。
永住者と帰化の違いは？
ここでは永住者と帰化の違いを整理します。どちらも日本で安定して暮らすための制度ですが、国籍の有無や権利の範囲に大きな差があります。
制度を理解することで、自分に合った選択を考えやすくなるでしょう。
①帰化とは？
帰化とは外国人が日本国籍を取得する制度です。法務省に申請を行い、審査を経て許可されると日本人としての身分を持つことになります。
選挙権や公務員採用など、日本人と同じ権利を得られる点が特徴です。
②永住者と帰化との主な違い
永住者は外国籍のまま日本で安定して暮らせる資格です。
帰化は国籍を日本に変える制度であり、権利や義務が日本人と同じになります。永住者は退去強制の可能性がありますが、帰化すれば日本人としてその心配はなくなります。
一般永住者・特別永住者・帰化の主な違いは以下のとおりです。
| 項目 | 一般永住者 | 特別永住者 | 帰化 |
|---|---|---|---|
| 国籍 | 外国籍のまま | 外国籍のまま（主に韓国籍・台湾籍など） | 日本国籍を取得 |
| 取得方法 | 法務省への申請と厳しい審査が必要 | 歴史的経緯に基づき自動的に認められる | 法務省に帰化申請し審査を経て許可 |
| 在留資格 | 永住者として在留カードを交付 | 特別永住者証明書を交付 | 日本人となるため在留資格不要 |
| 権利・義務 | 就労や居住に制限なし、退去強制の可能性あり | 就労や居住に制限なし、退去強制の対象になりにくい | 日本人と同じ権利義務（選挙権、公務員採用など） |
| 更新の有無 | 更新不要だが在留カードの携帯義務あり | 更新不要で証明書の携帯義務のみ | 更新不要、日本人として扱われる |
| 社会的安定性 | 長期的な生活基盤を持つが外国籍のまま | 歴史的背景に基づき強い保護を受ける | 国籍を持つため最も安定した地位 |
③永住者は帰化できるのか？
永住者であっても帰化申請は可能です。
永住資格を持っていることで生活基盤が安定していると判断され、帰化審査に有利になる場合があります。
ただし、帰化には独自の条件があり、永住者であっても必ず許可されるわけではありません。
一般永住者と特別永住者の違いに関するよくある質問
ここでは一般永住者と特別永住者の違いについて、読者からよく寄せられる質問をまとめます。制度の理解を深めるために、具体的な回答を簡潔に整理しました。
Q1. 特別永住者は何世代まで引き継がれますか？
特別永住者の資格は子孫が続く限り引き継がれます。世代制限はなく、家族が日本に住み続ける限り制度上の地位は守られます。
Q2. 特別永住者は日本国籍を取得できますか？
特別永住者であっても帰化申請を行うことは可能です。審査に通れば日本国籍を取得でき、日本人と同じ権利を持つようになります。
Q3. 永住者と特別永住者の更新手続きは違いますか？
一般永住者は在留カードの更新が必要ですが、特別永住者は証明書の更新は不要です。携帯義務のみが残り、手続きの負担は軽いです。
まとめ
ここでは永住者と特別永住者の違いについて整理してきました。
一般永住者は申請による厳しい審査を経て取得する資格であり、素行や収入、居住年数などが重要な条件となります。
一方で特別永住者は戦前から日本に住んでいた旧植民地出身者やその子孫に与えられる資格で、申請不要で強い保護を受けています。
また、両者は在留カードや証明書の扱い、雇用時の届出義務、退去強制の可能性など制度面で大きな違いがあります。さらに帰化との比較を通じて、国籍を持つことの意味や権利の範囲も理解できました。
永住者や特別永住者の制度は生活の安定に直結するため、正しい知識を持つことが大切です。制度の背景や条件を理解し、自分に合った選択を考えることが安心につながるでしょう。
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