技能実習生が活躍できる職種は?移行対象職種一覧と制度の最新情報

現在、日本のさまざまなしごと現場で、技能実習生の皆さんが活躍されています。
少子高齢化が進む日本において、実習生の方々は労働力を支える貴重な存在になっています。
技能実習制度は、開発途上国への技能や知識の移転による国際貢献を目的として、1993年に始まりました。
この制度を利用して実習生を受け入れるためには、対象となる職種や作業が、かならず定められた基準を満たしている必要があります。
特に、どの分野で実習生を受け入れられるのか、また、今後の職種追加や職種変更の予定はどうなっているのかといった情報は、受け入れを検討する企業にとって最も重要な検討要件となります。
この記事では、外国人技能実習生が対象とする全ての職種一覧、そして制度の最新動向について、分かりやすく解説いたします。
技能実習制度で対象となる職種一覧と概要

技能実習制度の対象となっている職種は、日本の産業界のニーズと開発途上国への技能移転の重要性に基づいて、幅広く設定されています。
この制度が目指すのは、実習生が日本で習得した技術を母国へ持ち帰り、その国の産業の発展に貢献することです。
現在、受け入れ可能な移行対象職種は91職種168作業にもおよびます。
これだけの数の職種と作業があるため、ご自身の事業内容が制度の要件に合致するかどうかを、正確に確認することが重要になります。
このセクションでは、対象となる職種の全体像と、各分野で実習生がどのような業務や作業を担うのかについて詳しくご紹介いたします。
① 91職種168作業の具体的な分野
技能実習制度で定められている移行対象職種は、91職種168作業に分類されています。
これらの職種は、日本の産業界の基盤を支える重要な作業から構成されており、開発途上国への技術移転効果が高いと判断されたものです。
ここでは、実習生が活躍する主な分野と、それぞれの分野に含まれる代表的な職種を分かりやすい表でご紹介いたします。
大分類(分野) | 代表的な職種(作業) |
---|---|
農業関係 | 耕種農業(施設園芸、畑作・野菜、果樹)、畜産農業(養豚、酪農) |
漁業関係 | 漁船漁業(まぐろはえ縄漁業など)、養殖作業(ほたてがい養殖など) |
建設関係 | とび、型枠施工、鉄筋組立て、内装仕上げ、配管、防水、塗装、解体 |
食品製造関係 | パン製造、そうざい製造、食鳥処理、水産練り製品製造、食肉加工 |
繊維・衣服関係 | 織布、ニット製品製造、婦人子供服製造、染色 |
機械・金属関係 | 金属プレス加工、溶接、機械加工(旋盤、フライス盤)、電子機器組立て |
その他製造業 | 家具製作、印刷、プラスチック成形、陶磁器製造 |
介護 | 訪問介護、施設介護(※高齢者や障害者の身体介護業務を含む) |
これらの作業を通じて、実習生は定められた計画に基づき日本の高度な技能を習得し、将来のキャリア形成に役立てています。
② 建設分野における技能実習の対象職種
建設分野は、技能実習生が活躍する主要な分野のひとつであり、多岐にわたる専門的な職種が設定されています。
この分野における移行対象職種には、高い技術を要する作業が含まれており、実習生は現場で実践的な実習を積み重ねます。
特に人気が高い代表的な職種とその作業内容は下記のとおりです。
代表的な職種 | 主要な作業内容 |
---|---|
型枠施工 | コンクリートを流し込むための型枠組立て作業 |
鉄筋組立て | 建物や構造物の骨組みとなる鉄筋の組立て作業 |
とび | 足場組立てや解体作業、揚重作業 |
内装仕上げ | 壁紙施工や床仕上げ作業など |
日本の建設技術は、高い品質と安全性が求められるため、実習生は工事現場での安全管理や品質管理の工程も含めて学びます。
これらの作業を通じて得られる技能は、母国のインフラ整備や都市開発に直接貢献できる、非常に価値のある土台を形成しています。
③ 介護分野での技能実習生の役割
近年、特に受け入れが拡大しているのが介護分野の職種であり、日本の高齢化社会を支える外国人技能実習生の役割は非常に大きくなっています。
介護の業務は、技術的な作業に加えて、利用者の方々への心の配慮や高い倫理観が求められる専門性の高い職種です。
実習生が主に担う作業は、利用者の日常生活の支援であり、その区分と内容は下記のとおりです。
業務区分 | 主な作業内容 |
---|---|
身体介護 | 食事、入浴、排せつの介助、体位変換など |
生活援助 | 居室の清掃、ベッドメイキング、衣類の洗濯作業 |
間接業務 | 記録作業、申し送り、機器の準備作業 |
介護分野での実習では、これらの基本的な作業に加え、利用者の生活の質を高めるためのサービスの提供技術を学びます。
日本の高齢者福祉に対する考え方や、きめ細やかな介護サービスの要件を深く理解する機会を提供しています。
技能実習制度の職種追加・変更に関する最新の動向

技能実習制度は、日本の経済や産業構造の変化、そして開発途上国のニーズに柔軟に対応するために、定期的に見直しが行われています。
これにより、受け入れ可能な職種の範囲は時代とともに拡大する傾向にあります。
特に、これまで受け入れが難しかった分野や、国内での人材不足が顕著な分野からの職種追加要望が高まっています。
このセクションでは、技能実習の対象職種が拡大している背景と、今後の職種追加や職種変更に関する具体的な検討状況、そして実習期間中に職種を変更できる例外的なケースについて解説します。
① 技能実習の対象職種が拡大する背景
技能実習の対象職種が拡大する主な背景には、日本の労働力人口の減少と産業構造の変化があります。
特に、人手不足が深刻な建設や製造業、介護などの分野で、外国人技能実習生の受け入れニーズが高まっています。
また、制度の国際貢献という目的に鑑み、開発途上国がこれから必要とするであろう新しい技術や業務分野を、日本が積極的に提供していくという視点も重要です。
たとえば、IT関係の技術や、特定のサービス業務など、従来の製造業中心の職種だけでなく、より幅広い分野での技能移転が求められるようになっています。
このような社会的、国際的な要件の変化が、職種追加を推進する大きな原動力となっています。
② 職種追加の検討状況と今後の予定
技能実習の職種追加は、関係省庁や専門家による厳格な審査工程を経て決定されます。
職種追加の検討状況として、その職種の技能が開発途上国で役立つか、そして日本国内で技能実習を行うための適切な指導体制が整っているかという2点が慎重に評価されます。
新しい職種追加の予定としては、サービス業や一部の製造業、機械整備関係など、さまざまな分野からの要望が議論されています。
具体的には、移行対象となる職種について、その作業内容や技能水準を明確に定めるための計画作りが進められています。
職種の追加が正式に決定された際には、技能実習機構や厚生労働省などの公式情報を通じて公表されますので、最新の情報を確認するようにしてください。
③ 技能実習期間中に職種を変更できるケース
原則として、技能実習生は入国時に定められた職種を途中で変更することはできません。
これは、当初の実習計画に基づき、一貫して専門的な技能を習得し、試験に合格することを目的としているためです。
しかし、やむを得ない特別な事情がある場合には、例外的に職種変更が認められることがあります。
たとえば、受け入れ企業が倒産した場合や、技能実習を行うことが困難となるような業務上の問題が発生した場合など、実習生ご自身の責任ではない事態がこれにあたります。
職種変更が認められるためには、技能実習機構への申請や、新しい実習計画の策定と承認といった複雑な処理工程が必要となります。
職種ごとの技能実習生受け入れ人数の傾向

技能実習制度においては、すべての職種で同じように実習生が受け入れられているわけではありません。
日本の産業界の需要や、送り出し国における技術習得への関心の高まりによって、職種別人数には大きな違いが見られます。
この受け入れ人数の傾向を分析することは、どの分野で外国人技能実習生の活躍が特に求められているのか、そして、どのような業務の技能が国際的に価値が高いと認識されているのかを理解する上で重要です。
このセクションでは、特に受け入れ人数が多い職種の傾向と、国籍別で見た実習生の職種選びの傾向について解説します。
① 受け入れ人数が多い上位3つの職種
技能実習生の職種別人数で、長年にわたり上位を占めているのは、「食品製造関係」「建設関係」「機械・金属関係」の3つの分野です。
これらの職種は、日本の経済活動を支える基幹産業であり、安定した製品製造やインフラ整備のための高度な作業を必要とします。
食品製造関係では、衛生管理を徹底した加工工程や、品質管理の高い技術が求められ、建設関係では、型枠施工や鉄筋組立てといった専門的な工事技術の習得が重要になります。
機械・金属関係では、精密な加工や溶接といった、ものづくりの核となる技術が実習の対象となっています。
これらの職種は、技能実習生にとって高い技能を習得できる機会となっています。
② 国籍別で見る技能実習生の職種傾向
外国人技能実習生の職種選択の傾向は、国籍によって明確な違いが見られます。
主要な送り出し国ごとに、日本で習得したい技能への関心や母国の産業構造に基づいた実習計画が立てられています。
どの国の実習生も一律の職種を選ぶのではなく、それぞれの母国の産業構造や、日本で習得したい技能への関心に基づいて実習計画が立てられています。
主な国籍の実習生に見られる職種選択の傾向をまとめたものが下記の表になります。
国籍 | 強い傾向が見られる職種分野 |
---|---|
ベトナム語圏 | 製造業(電子機器組立て、機械加工、縫製など) |
中国 | 食品製造、繊維・衣服関係、建設関係の一部 |
インドネシア語圏 | 介護、漁業関係、農業関係 |
フィリピン | 介護、製造業(溶接、金属加工など) |
ベトナム語圏からの実習生は、電子機器組立てや機械加工といった製造業関係の職種で高い割合を占める傾向があります。
中国からの実習生は、比較的幅広い職種で見られますが、特に食品製造や繊維関係での受け入れ実績があります。
インドネシア語圏からの実習生は、人手不足が深刻な介護分野や漁業関係の職種にも積極的に移行する意欲を示す傾向があります。
また、フィリピンからの実習生も介護分野や特定の製造業作業において存在感を示しています。
受け入れ企業は、実習生の国籍ごとの文化的背景や、言語的なサポート体制を考慮して、適切な実習計画を立てることが重要です。
③技能実習生の国籍の割合
日本で働く技能実習生の人数は、主要な送り出し国によって大きく偏りがあります。
この割合を知ることは、どの国からの受け入れが活発であるか、また、その背景にある各国の状況を理解する上で重要です。
ここでは、法務省などの公的データに基づいた、主要な国籍別の実習生人数と全体に占める割合を概数で紹介します。
国籍 | 人数(概数) | 割合(%) |
---|---|---|
ベトナム | 約 240,000 | 55~57% |
中国 | 約 55,000 | 約 12% |
インドネシア | 約 50,000 | 約 11% |
フィリピン | 約 35,000 | 約 8% |
ミャンマー | 約 30,000 | 約 7% |
その他(タイ、カンボジア、ネパールなど) | 約 20,000 | 約 5% |
よくある質問(FAQ)
技能実習制度は、その複雑さから外国人技能実習生や受け入れ企業様からさまざまなご質問をいただきます。
ここでは、特に職種や制度の移行に関する疑問を解消するため、頻繁に寄せられる5つの質問に、正確な情報に基づいてお答えします。
① 技能実習の対象職種は今後も増える予定がありますか
はい、技能実習制度は、日本の産業構造や労働市場の要件の変化に対応するため、常に柔軟に見直されています。
現在も、人手不足が深刻な分野や、開発途上国への技能移転効果が高いと判断される分野を中心に、新たな職種追加の検討が進められています。
職種追加の予定は、技能実習機構や関係省庁の審議会で議論された後、正式に公表されます。
最新の移行対象職種の情報は、かならず公的な情報を確認する必要があります。
② 技能実習の職種を変更できる条件はありますか
原則として、入国時に決定された職種を途中で変更することはできませんが、例外的なケースでのみ認められます。
具体的には、受け入れ企業の倒産、実習実施機関の不適切な業務運営による実習計画の履行困難、または人権侵害があった場合などです。
これらのやむを得ない事情により実習の継続が困難となった技能実習生に限り、技能実習機構による厳正な審査と承認処理を経て、別の職種への移行が認められることがあります。
③ 特定技能への移行が可能な職種はどのようなものですか
特定技能制度は、技能実習を修了した外国人技能実習生が、さらに日本で就労することを可能にするための在留資格です。
技能実習2号を良好に修了し、試験が免除される移行対象職種は、特定技能1号で定められた12分野と関連性が高い職種です。
具体的には、介護、建設、製造業関係などが該当します。
実習生は、技能実習で培った知識と技術を活かし、特定技能へ移行することで、より長く日本の産業に貢献する業務が可能となります。
④ 受け入れ人数が多い職種とそうでない職種があるのはなぜですか
技能実習の職種別人数に差が生じる理由は、主に日本の産業界の要件と、送り出し国の需要のバランスによるものです。
日本の人手不足が特に深刻な製造業や建設、介護といった分野は、技能実習生の受け入れ人数が多くなる傾向があります。
また、実習生を送り出す国々において、その技術の習得が帰国後の就職やキャリアアップに直結すると見込まれる職種は、実習計画の希望が多く集まる傾向があります。
⑤ 技能実習生が母国語で職種名を確認できる資料はありますか
はい、外国人技能実習生が安心して実習計画を理解できるよう、技能実習機構や国際的な協力団体から、移行対象職種の一覧がベトナム語、インドネシア語、英語などの複数の外国語で提供されています。
これらの資料は、職種や作業の内容、そして技能検定試験の要件を正確に伝えるために非常に重要です。
技能実習生は、これらの母国語の資料を活用して、ご自身の実習計画を明確に把握することができます。
まとめ
この記事では、技能実習生の職種一覧、職種追加の予定や職種変更の要件など、制度の重要な情報について解説しました。
現在、移行対象職種は91職種168作業にもおよび、建設や介護、食品製造など、日本の主要な産業を支える業務分野で、外国人技能実習生が活躍しています。
技能実習制度の目的は、日本で習得した高度な技能や知識を開発途上国へ移転し、国際貢献を果たすことです。
この目的を達成するためには、受け入れ企業が正確な実習計画を策定し、適切な指導のもとで作業を行わせることが要件となります。
制度は、社会の要件に合わせて今後も柔軟に変化していく予定がありますので、常に最新の情報を確認しながら、技能実習生の育成と円滑な移行に努めていくことが重要です。
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